微生物資材のおすすめ4選|目的・使い方・注意点を比較して選び方を解説

2026年10月01日

微生物資材は、使用する目的や土の状態、栽培環境によって適した商品が異なります。土づくりや有機物の分解を目的とするもの、センチュウ対策を想定したもの、希釈・培養などさまざまな方法で活用できるものなど、商品ごとに特徴があります。

この記事では、カルスNC-R・菌力アップ・AG土力・EM1の4商品を取り上げ、それぞれの特徴や使用方法、価格、購入前に確認したいポイントを紹介します。

使用目的だけでなく、必要な材料・作業の手間・使用時期・費用感まで踏まえて、自分の栽培環境に合う微生物資材を検討できるよう解説します。

目次

サクッとチェック!この記事でわかる重要ポイント

  • おすすめ4商品の比較:カルスNC-R・菌力アップ・AG土力・EM1を取り上げ、それぞれの特徴や使用方法、価格帯を比較しています。
  • 微生物資材を選ぶ5つのポイント:使用目的・使用方法・費用・使用時期・保管方法や併用条件を確認し、無理なく使用できる商品を選ぶことが重要です。
  • 選ぶ基準は「どの商品が優れているか」ではなく「自分の目的に合っているか」:商品の公式情報や使用方法を確認し、必要に応じてメーカーへ問い合わせながら、自分の条件に合う微生物資材を検討しましょう。

微生物資材は目的に合わせて選ぼう!

微生物資材を選ぶときは、まず「何のために使いたいのか」を明確にすることが大切です。

微生物資材には、有機物の分解や土づくりを目的とするもの、特定の土壌害虫への対策を想定したもの、希釈・培養によってさまざまな用途に活用できるものがあります。商品によって特徴が異なるため、土の状態や育てている作物、使用できる材料、作業にかけられる時間などを踏まえて検討しましょう。

以下のフローチャートで、自分の目的に近い商品を確認してみてください。

微生物資材は目的に合わせて選ぼう!

その後の各商品紹介で、使用方法や購入前に確認したいポイントを詳しく見ていきましょう。

微生物資材のおすすめ4選を徹底比較!

フローチャートの結果から、まずはおすすめの微生物資材を見てみましょう。
各資材についてはこちらからご覧ください。

①カルスNC-R|有機物を活用した土づくりを検討したい人に

カルスNC-Rは、創業50周年を迎えたリサール酵産が製造する微生物資材です。同社は微生物資材専業メーカーとして1986年の設立から一貫してこの分野に取り組んでおり、有機JAS適合資材としても登録されています。

作物残さや稲わら、生モミガラなどの有機物を土にすき込み、微生物の力で一気に土中分解を進められる点が特徴です。一般的な堆肥づくりのように、別の場所で有機物を積み上げて管理するのではなく、畑にそのまますき込んで栽培と並行して土づくりができます。

そのため、収穫後の残さを廃棄せず活用したい人や、堆肥化の切り返し作業を省きたい人が検討しやすい資材です。ただし、使用する有機物の種類や量によって必要な期間や作業内容が変わるため、具体的な使用方法を確認してから取り入れることが大切です。

カルスNC-Rの使用方法と必要な材料

使用の流れは、①有機物を散布→②カルスNC-Rと米ぬかを散布→③ロータリーですき込み→④1〜3週間おく→⑤作付け、という手順です。

使用量は栽培形態によって異なります。

用途 面積 使用量
施設野菜・花卉 10a 3〜4袋(30〜40kg)
露地野菜・牧草 10a 2〜3袋(20〜30kg)
果樹・お茶 10a 2〜3袋(20〜30kg)

有機物の種類によって、追加で必要な材料や分解にかかる期間も変わります。

有機物の種類 量の目安(10a) 硫安(炭素率調整) 米ぬか(増量材) 分解期間
緑肥・作物残さ 全量 不要 200〜300kg 1〜2ヶ月
生モミガラ 1トン 40kg 200〜300kg 6〜10ヶ月
畜ふん生堆肥 5〜7トン 不要 200〜300kg 6〜10ヶ月

生の籾殻を使う場合は、微生物の活動に必要な窒素分を硫安などで別途補う必要があります。ここを省くと、作物が窒素不足になることがあるため注意が必要です(有機JASの場合は、硫安の代わりに菜種油粕180〜220kgまたは米ぬか450〜500kgを使用します)。

購入前に確認したい疑問と注意点

価格は粉タイプ10kgが6,930円、粒タイプ10kgが8,250円(いずれも税込・メーカー希望小売価格)です。粉タイプは効果の発現が早い一方で風に舞いやすく、粒タイプは扱いやすい代わりにやや効果の発現が遅い、という違いがあります。作業環境に応じて選ぶとよいでしょう。

作付けまでの期間は、すき込みから最短1週間、基本は2〜3週間を目安にします。特に直播き栽培の場合、害虫による発芽不良のリスクがあるため、薬剤防除を行わないなら3週間はあけることが推奨されています。季節によっても変わるので、種まき・定植の予定日から逆算して計画を立てましょう。

このほか、次の点にも注意が必要です。

・土壌消毒剤を使った直後に施用する場合は、消毒剤の効果が消えるまで期間をあける
・石灰窒素との併用は避ける。他の石灰類も同時混用は避け、期間をあけて使用する
・施用時はゴーグル・マスクを着用し、作業後は手洗い・うがいをする

保管は、紫外線の当たらない冷暗所で。未開封なら製造から2年、開封後は密封して6ヶ月以内の使用が目安です。

カルスNC-Rはどのような人が検討しやすい?

カルスNC-Rは、作物残さや生の籾殻などの有機物を活用しながら土づくりをしたい人、次作までの期間をできるだけ短くしたい人に向いています。

一方で、有機物の種類によっては硫安や米ぬかなどの追加材料や、数ヶ月単位の分解期間が必要になる場合があります。購入前に、使用する有機物の種類と、作付け予定日から逆算した準備期間を確認しておきましょう。

使用方法に迷う場合は、公式サイトの「よくあるご質問」や公式LINEで問い合わせる窓口が用意されています。

②菌力アップ|好気性土壌微生物を活用したい人に

菌力アップは、250種類以上の好気性微生物を配合した液体タイプの土壌改良資材です。販売元の大地のいのち(サンビオティック)では、有機物の分解の促進、団粒構造の形成、発根の促進などを特徴として案内しています。有機JAS認証圃場でも使用でき、必要に応じて資材証明書も発行してもらえます。

作物残さなどを土に混ぜ込むカルスNC-Rとは違い、水で希釈して散布・潅水するのが基本です。土づくりの段階だけでなく、育苗期や生育期など、栽培のさまざまな場面で使えるように使用方法が整理されています。そのため、資材を定期的に施用しながら土の状態を整えていきたい人に向いています。

なお、微生物の種類が多いからといって、効果が高いと決まるわけではありません。作物や土の状態、施用の頻度に合っているかを確認して選びましょう。

菌力アップの使用方法と必要な材料

原液を水で希釈し、使う場面に応じて全面散布・潅水・潅注のいずれかで施用します。準備するものは、希釈用の水と容器、散布や潅水に使う道具(じょうろ、噴霧器、潅水設備など)です。
公式の使用量は、場面ごとに希釈倍率が異なります。

使用場面 希釈倍率・使用量 施用方法
土づくり・太陽熱消毒前・土壌消毒後 原液10L/10aを約100倍に希釈 全面散布
播種・育苗期(床土、プランター、ポット) 200〜300倍 潅水
播種・育苗期(セルトレー) 500〜700倍(128穴で500倍、288穴で700倍) 潅水
栽培期間中(生長期・発根促進期) 原液5L/10aを100〜200倍に希釈 潅水
土壌病害・センチュウ対策(応急) 原液10L/10aを50〜100倍に希釈 潅水または潅注(3〜4日おきに4回以上)
土壌病害・センチュウ対策(予防) 原液5L/10aを100〜200倍に希釈 潅水(週1回程度)
堆肥製造 200〜300倍(原料10tに原液2〜3L) 全面散布

セルトレーでは、土の量が少ないほど薄い倍率にする点に注意が必要です。また、堆肥製造では希釈倍率よりも「原料に対する使用量」を基準にします。

購入前に確認したい疑問と注意点

価格は、2Lで2,079円、20Lで7,975円です(メーカー希望小売価格・税込)。1Lあたりに換算すると、2L入りは約1,040円、20L入りは約399円なので、使用量が多くなる場合は大容量のほうが割安になります。

継続して施用する資材のため、費用は購入時の価格だけでなく、施用の回数を含めて考える必要があります。例えば、土づくりに原液10L、その後に生育期の潅水(原液5L/回)を行う場合、1回の施用に必要な原液量が変わります。詳しい費用の試算は、後半の「使用量と費用」で紹介します。

保管と併用については、次の点を確認しておきましょう。

・開封後は6か月以内の使用が推奨されています。長期間保存すると微生物のバランスが崩れたり、数が減ったりする場合があります。
・直射日光が当たる場所、高温になる場所、凍結のおそれがある場所での保管は避ける。
・殺菌剤・殺虫剤・除草剤などの農薬、亜リン酸・クエン酸などの酸性資材、アルカリ性資材、酸素供給剤など、殺菌作用のある資材とは混ぜて使用しない。

また、菌力アップは肥料ではなく土壌改良資材です。肥料成分を補うものではないため、施肥計画とは分けて考える必要があります。

菌力アップはどのような人が検討しやすい?

菌力アップは、希釈して潅水・散布する方法で、土づくりから生育期まで継続的に微生物を取り入れたい人に向いています。育苗から果樹まで幅広い作物に使用方法が案内されている点も特徴です。

一方で、希釈作業の手間や、施用を続ける時間が必要になります。購入前に、栽培面積、使用できる道具、継続して作業できる頻度を確認しておきましょう。

施用から作付けまでの期間は、公式ページには明記されていません。計画に組み込む場合は、メーカーへの確認をおすすめします。

なお、メーカーが掲載している事例には、千葉県のメロン農家が菌力アップを導入し、肥料の使用量を一般的な量の3分の1に抑えながら品質と収量を維持したという内容があります。ただし、これはメーカー紹介の一事例であり、すべての栽培環境で同じ結果が得られるとは限りません。

③AG土力|センチュウによる被害が気になる人に

AG土力は、アイアグリが販売する土壌改良資材です。センチュウを捕食する菌(アルスロボトリス菌)と、植物性の有機物を分解する繊維分解菌が、天然ゼオライトに組み合わされた粒状タイプです。

センチュウは作物の根を傷め、生育に影響することがあります。AG土力は、こうした被害が気になる人が、センチュウ対策と作物残さの分解を同時に進めたいときに検討できる資材です。主要な肥料成分を含まないため、今の施肥計画をそのまま使える点も特徴です。

ただし、連作障害の原因はセンチュウだけではありません。AG土力を使えばすべての連作障害が解決するわけではなく、センチュウの発生状況や土壌環境によっても結果は異なります。

AG土力の使用方法と必要な材料

粒状の資材を、土づくりの段階で畑に散布してすき込むのが基本です。希釈や培養の作業がなく、資材本体のほかに準備するものは、散布用の道具程度で済みます。粉塵が少なく、広い畑でも均一に散布しやすい設計です。
使用量は、面積や場面によって異なります。

使用場面 面積・量の目安 使用量
畑・家庭菜園 1㎡ 約100g
畑・家庭菜園 1坪(約3.3㎡) 400〜500g
畑 10a(1反) 5〜7袋(60〜84kg)
レンコン 10a(1反) 10袋(120kg)
野菜残さの分解 10a 3〜4袋
堆肥の発酵促進 原料1トン 3〜4袋
太陽熱消毒時・土壌消毒後 10a 8〜10袋

1袋は12kgです。土壌消毒後や太陽熱消毒時は、通常よりも使用量が多くなる点に注意しましょう。

購入前に確認したい疑問と注意点

価格は12kgで2,980円です。1kgあたりに換算すると約248円で、家庭菜園なら1坪あたり約100〜125円が目安です。

公式ページでは、一度の散布で約4〜6週間効果が持続するとしています。効果の続く期間は、栽培環境や気候によっても変わるため、目安として捉えておくとよいでしょう。

使う前には、次の点を確認してください。

・アルカリ性に弱い菌のため、石灰類やアルカリ性の液肥を使う際は注意が必要です。
・発酵前や発酵が未熟な堆肥とは、あらかじめ混ぜて使わない。発酵中は高温になることがあり、菌に影響する可能性があります。
保管は、直射日光が当たらず風通しのよい冷暗所で。菌の効果が弱まるため、開封後は早めに使い切ります(有効期限の目安は半年程度)。

なお、有機JAS適合資材としての認証は、商品ページに記載がありません。有機JAS認証圃場での使用を考えている場合は、メーカーへの確認が必要です。

AG土力はどのような人が検討しやすい?

AG土力は、センチュウによる根の被害が気になる人や、センチュウ対策と作物残さの分解をあわせて進めたい人に向いています。希釈や培養の手間がなく、粒を散布するだけの手軽さを求める人にも選択肢に入ります。

一方で、価格は安くても使用量が多い資材です。栽培面積が広くなると必要な袋数も増えるため、使用量に合った容量とコストを事前に確認しておきましょう。また、根の傷みや生育不良の原因がセンチュウとは限らないため、根の状態を確認してから導入を考えると安心です。

④EM1|希釈・培養・発酵などにも活用したい人に

EM1は、EM研究所が製造する複合微生物資材です。乳酸菌・酵母・光合成細菌などを複合培養したもので、有機JAS資材リストにも登録されています。

特徴は使い道の広さです。土づくりや育苗、生育期の潅水・葉面散布のほか、植物残さや堆肥の分解促進、ボカシ肥づくり、さらに水質浄化や消臭にも使える資材として記載されています。原液を希釈して使う方法に加え、EM1を種菌として培養し、EM活性液などに展開する使い方もあります。

ただし、EM1は農薬ではなく、土壌全体を発酵させることで効果が期待できる資材です。また、EM1の原液と、培養して作るEM活性液は別のものです。保存性や扱い方が異なるため、区別して使う必要があります。

EM・1の使用方法と必要な材料

基本は、原液をそのまま散布する方法と、水で希釈してかん水・散布する方法です。準備するものは、希釈用の水と容器、散布やかん水に使う道具です。
公式の使用方法は、栽培の段階ごとに整理されています。

使用場面 作業 使用方法
土づくり 耕起 堆肥などとともに作物残さをすき込んで耕起し、EM1を1L/10a散布(定植の1ヶ月以上前)
植え付け準備 施肥・畝立て 作物残さ・雑草・有機肥料などを軽くすき込んで畝立てし、EM1を1L/10a散布(定植の1ヶ月以上前)
育苗期 種子処理 播種前に種子を水洗いし、2000倍希釈液に30分浸してから陰干し
育苗期 管理 かん水に2000倍で添加し、葉面にも同時に散布
定植期 定植 定植前に2000倍希釈液へ苗を浸す
生長期 管理 かん水に1000倍で添加し、適宜散布(葉面にも同時に)

培養してEM活性液を作る場合は、完成までの日数もかかります。作り方は、公式の案内を確認してから始めるのが確実です。

購入前に確認したい疑問と注意点

価格は、容量によって1Lあたりの単価が変わります。

容量 価格(税込) 1Lあたり
500ml 1,320円 2,640円
1L 2,420円 2,420円
10L 20,900円 2,090円

土づくりでは10aあたり1Lなので、1回の施用は2,420円が目安です。生育期の潅水は1000倍希釈で「適宜」の施用となっており、頻度によって費用が変わります。

EM1を使うときは、希釈液の扱いに特に気をつけましょう。

・希釈液は使う直前に作り、夏期で1〜2日、冬期でも3日以内に使い切る。
・葉面散布では、濃度が高いと有機酸で葉に黄色い斑点が出たり、乾燥の激しい時期に生理障害が出たりすることがある。
・散布用の水は、できるだけ塩素を含まないものを使う。
・殺菌剤とは併用しない。

保存は、温度変化の少ない暗所(10〜25℃が最適)で行います。冷蔵庫やビニールハウス内は避け、冬期は凍らせないようにします。開封後は6か月以内の使用がすすめられています。

EM1はどのような人が検討しやすい?

EM1は、土づくりだけでなく、育苗・定植・生育期まで一貫して使いたい人や、希釈液の使い分けや培養・発酵にも取り組んでみたい人に向いています。水質浄化や消臭の用途がある点も、今回確認した公式ページでは、EM1にのみ記載がありました。

一方で、希釈液は日持ちしないため、必要な量をその都度作る手間があります。培養に挑戦する場合は、材料の準備や温度管理、完成後の保管も必要です。購入前に、「原液を使うのか、活性液まで作るのか」を決めておくと、必要な作業と時間が見通せます。

公式サイトのよくある質問には、使用方法・培養方法・保管に関する情報があります。初めて使う場合は、そちらも確認しておくと安心です。

微生物資材を選ぶ前に確認したい5つのポイント

微生物資材は、商品によって使い方も準備するものも異なります。「土づくりに使うもの」という点は共通でも、同じ手順で使えるわけではありません。
購入前に確認したい項目を、以下にまとめました。

確認項目 購入前に確認すること
使用目的 土づくり・残さ分解・センチュウ対策など
使用方法 すき込み・希釈・培養など
必要な材料 水・米ぬか・追加の窒素資材など
使用量と費用 面積あたりの使用量、施用回数、追加材料の費用
使用時期 施用のタイミング、作付けまでの期間
保管方法 温度・日光・開封後の使用期限
併用 石灰類・農薬・土壌消毒剤・ほかの資材との関係
サポート 公式FAQ・問い合わせ窓口の有無

ここからは、特に迷いやすい5つのポイントを順番に見ていきます。

1. 何を目的に使うのか

最初に決めたいのは、「何に困っていて、何のために使いたいのか」です。

たとえば、収穫後の作物残さを活用したいのか、センチュウによる根の被害が気になるのか、育苗から生育期まで継続して土の状態を整えたいのかによって、選ぶ資材は変わります。困りごとがはっきりしないときは、先に土の状態(固さ、水はけ、前作の生育、根の様子)を整理してから、商品を比べるとよいでしょう。

なお、商品の特徴が自分の悩みに近くても、期待した効果が必ず得られるとは限りません。土壌の状態や作物、使い方によって結果は変わります。根の状態などを確認しながら、必要な対策をあわせて検討しましょう。

2. 使用方法と必要な材料

購入後にどんな作業が発生するかも、選ぶ前に確認しておきたい点です。使い方は、大きく次の3つに分けられます。

・すき込む場合:有機物と資材を畑に散布し、ロータリーなどで混ぜ込む。米ぬかや窒素資材といった追加材料が必要になることがある。
・希釈する場合:水で薄めて、散布・潅水・潅注する。希釈用の容器や、散布のための道具が必要になる。
・培養する場合:資材を種菌として増やして使う。資材以外の材料に加えて、培養の時間や温度の管理が必要になる。

「資材を買えばすぐ使える」とは限りません。準備できる材料、使える道具、作業に割ける時間をあらかじめ確認しましょう。

3. 使用量と費用

比較するときは、商品の価格だけでなく、「自分の面積に使う量」と「施用の回数」で考えることが大切です。

同じ価格でも、必要な量や希釈倍率、使用頻度によって、実際にかかる費用は大きく変わります。たとえば、袋入りの資材は価格が同程度でも使用量が多くなることがあり、液体資材は1回の費用が安くても、定期的に施用すると回数分のコストがかかります。

参考として、10aに土づくりとして1回施用する場合の費用を、公式の使用量とメーカー希望小売価格から概算しました。

商品 想定使用量(10a) 概算費用
カルスNC-R(粉タイプ・露地) 2〜3袋(20〜30kg) 約13,860〜20,790円
菌力アップ(20L入り使用時の単価換算) 原液10L 約3,988円
AG土力 5〜8袋(60〜96kg) 約14,900〜23,840円
EM1 1L 2,420円

※メーカー希望小売価格(税込)をもとにした概算で、実際の販売価格とは異なる場合があります。
※カルスNC-Rは、米ぬかなどの追加材料費が含まれていません。
※AG土力は、公式ページ内で使用量の記載に幅があるため、5袋(公式記載の下限)と8袋(面積換算の目安)で計算しています。
※菌力アップは2L入り(1Lあたり約1,040円)で購入した場合、同じ10Lで約10,395円になります。

この表は、あくまで「土づくり1回分」の比較です。菌力アップやEM1のように、栽培期間中も繰り返し施用する使い方が案内されている資材は、施用の回数によってトータルの費用が変わります。一例として、菌力アップで土づくりを行い(原液10L)、その後に予防を目的とした潅水を週1回、4回続けたと仮定します(1回あたり原液5L)。この場合、必要な原液は合計30Lです。追加の4回分(原液20L)は、20L入りを1本購入すると7,975円になります。

※週1回・4回という回数は、費用のイメージをつかむための仮定です。公式の案内は「週1回程度」までで、実際の回数は栽培環境や作物によって異なります。

また、使用量や希釈倍率は、自己判断で変えないようにしましょう。公式の案内どおりの量で使うことが、費用面でも効果の面でも基本になります。

4. 使用時期と植え付けまでの期間

「いつ施用するか」と、「施用してから、いつ種まきや植え付けができるか」も確認しておきましょう。すき込む場合と希釈する場合では、考え方が異なります。

すき込む場合は、有機物の分解に時間が必要なため、作付けまで一定の期間をあけるよう案内されているのが一般的です。使う有機物の種類や量、季節によって、必要な期間は変わります。希釈する場合は、土づくり・育苗・定植・生育期といった栽培の段階ごとに、使用量や希釈倍率が異なるため、注意が必要です。

作付けまでの期間は、比較表のとおり商品ごとに情報の有無が異なります。公式ページに明記されていない場合は、メーカーに確認したうえで、作付けの予定日から逆算して計画を立てましょう。

土壌消毒や太陽熱消毒の後に使う場合は、消毒剤の効果が残っている間は微生物に影響が出るおそれがあります。あける期間は、薬剤メーカーや資材メーカーに確認してください。

5. 保管方法・併用・注意事項

購入前に、保管条件と併用できない資材も確認しておきましょう。微生物資材は生きた菌を含むため、保管方法や使用期限が使い勝手に関わります。
見ておきたいのは次の4点です。

・開封後の使用期限:未開封と開封後で期限が異なります。1回で使い切れない量を買うと、使い切る前に期限が来ることがあります。
・保管場所の条件:直射日光や高温、凍結を避けるのが基本です。商品によっては、温度の範囲まで指定されています。
・希釈液・培養液の日持ち:原液と、水で薄めた液、培養して作った液とでは、保存できる期間が異なります。
・併用できない資材:石灰類、農薬、土壌消毒剤、酸性・アルカリ性の資材などは、微生物の働きに影響することがあります。

具体的な期限や併用できない資材は商品によって違うため、各商品の解説で確認してください。ここに載っていない組み合わせについては、使う前にメーカーへ問い合わせるのが確実です。

まとめ:微生物資材は目的と使用条件を確認して選ぼう

今回は、カルスNC-R・菌力アップ・AG土力・EM1の4商品を比較しました。特徴を一言でまとめると、次のとおりです。

・カルスNC-R:作物残さなどの有機物をすき込み、土中で分解させる。最短1週間で作付けできる
・菌力アップ:好気性微生物を水で希釈し、土づくりから生育期まで継続して施用する
・AG土力:センチュウ捕食菌と繊維分解菌を含む粒状資材。散布するだけで使える
・EM1:希釈のほか、種子浸漬や葉面散布、培養にも使える。用途が広い

どの商品を選んでも同じ、というわけではありません。使う目的、準備できる材料、作業にかけられる時間、費用を確認して、自分の栽培環境に合う商品を選びましょう。

使用方法や併用条件、価格は変更されることがあります。購入前には、各メーカーの最新の情報を確認してください。分からない点は、メーカーや販売元に問い合わせると、自分の環境に合った使い方を確認できます。

「微生物資材」に関するよくある質問

開封後は、どのくらい保存できますか?

商品によって異なります。各資材の公式サイトによると、カルスNC-R・菌力アップ・EM1は、開封後6か月以内の使用が目安です。AG土力は有効期限が半年程度とされており、開封後は早めに使うよう案内されています。

保管は、直射日光や高温、凍結を避けるのが基本です。EM1は、10〜25℃の温度変化の少ない暗所が最適とされています。

有機JAS認証の圃場でも使えますか?

カルスNC-R・菌力アップ・EM1は、有機JAS適合資材です。AG土力は、商品ページに有機JASに関する記載がなかったため、使う前にメーカーへの確認が必要です。

なお、有機JAS認証圃場(認証予定を含む)で使う場合は、事前に認証機関へ確認しておくと安心です。菌力アップは、資材証明書の発行にも対応しています。

土壌消毒や太陽熱消毒のあとに使えますか?

商品によって案内が異なります。菌力アップとAG土力は、太陽熱消毒や土壌消毒後の使用量が記載されています。一方、カルスNC-Rは、消毒剤の効果が消えるまで期間をあけてから施用するよう案内されています。

消毒剤が残っていると、微生物の働きに影響するおそれがあります。あける期間は、薬剤のメーカーと資材のメーカーの両方に確認しましょう。

家庭菜園のような少量でも使えますか?

使えます。ただし、容量は商品によって異なります。AG土力は1坪あたり400〜500gの目安が案内されており、EM1は500mlから、菌力アップは2Lから購入できます。

カルスNC-Rは10kg袋が基本ですが、1㎏など、容量の異なる商品もあります。また、超カルスNC-Rは30g×10袋で小分けになっており、1袋で1鉢分使用可能のため、少量から試すことも可能です。

EM1の希釈液は作り置きできますか?

EM1の希釈液は、使う直前に作り、夏期は1〜2日、冬期でも3日以内に使い切るよう案内されています。作り置きはできないと考えておきましょう。

※商品の使用方法や併用条件は、商品ごとの最新の公式情報をご確認ください。