微生物肥料とは?微生物資材との違い・効果・選び方を解説

2026年10月28日

微生物資材は種類が多く、「自分の畑にはどれが合うの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、資材ごとの働きや選ぶときのポイント、使い方の注意点を紹介します。カルスNC-R、EM・1、AG土力、宙炭の4商品を同じ項目で比べているので、土づくりの目的に合う資材を探す参考にしてください。

目次

サクッとチェック!この記事でわかる重要ポイント

  • 微生物資材と肥料の違い: 肥料は作物に養分を届けるもの、微生物資材は微生物の働きで土づくりを進めるものです。役割が違うので、組み合わせて使うのが基本です。肥料を活かしやすい土を目指せます。
  • 微生物資材の種類: 有機物の分解、土壌環境、養分の利用、センチュウ対策など、商品ごとに目的が違います。まず自分の畑や家庭菜園で解決したいことを決めると、選びやすくなります。
  • 商品を比べるポイント: 目的・用途、対象作物、含有微生物、使用方法、併用する資材、費用、事例の7点で比べます。価格は容量ではなく、使用量と対象面積で考えるのがコツです。カルスNC-R、EM・1、AG土力、宙炭の4商品を、同じ項目で並べています。
  • 使い方と併用するもの: 使用量、施用時期、併用する資材は商品ごとに違います。堆肥や有機質肥料と一緒に使うタイプもあるので、購入前にラベルや説明書で確認しましょう。

微生物肥料とは?微生物資材との違い

「微生物肥料」と検索すると、肥料とも土壌改良資材とも書かれた商品がたくさん出てきて、どれを選べばいいのか迷いますよね。微生物を利用した資材には種類があり、働きも使い方も商品ごとに違います。

また、微生物資材と肥料は役割が異なります。肥料が作物に養分を届けるものだとすれば、微生物資材は、その養分を作物が吸収しやすい土をつくることを目的にした商品です。

この記事では、両者の違いと選び方を紹介します。例として、カルスNC-R、EM・1、AG土力、宙炭の4商品を同じ項目で並べます。

微生物肥料とは:微生物を利用して作物の生育を支える資材

「微生物肥料」は、微生物を使った資材を探している人がよく使う言葉です。この記事では検索語として使い、実際の商品は「微生物資材」と呼びます。

微生物資材の目的はさまざまです。有機物の分解を助けるもの、土の状態を整えるもの、養分の利用を支えるもの、センチュウなどの対策を目的にしたものがあります。まずは、自分の畑や家庭菜園で何を解決したいのかを考えると、選びやすくなります。

微生物資材と一般的な肥料・有機質肥料の違い

肥料は、作物に必要な養分を供給するものです。一方、微生物資材には、微生物の働きで有機物を分解したり、土の環境を整えたりすることを目的とする商品があります。有機質肥料は、米ぬかや油かすなど有機物を原料にした肥料で、微生物資材とは別のものです。

項目 微生物資材 化成肥料 有機質肥料
主な目的 微生物の働きの利用(目的は商品により異なる) 作物への養分供給 有機物由来の養分の供給
主な原料 微生物と、微生物の入れ物となる素材 化学的に製造した成分 米ぬか、油かす、魚かす、鶏ふんなど

商品の分類は、いくつかに分かれます。カルスNC-R、EM・1、AG土力は土壌改良資材などとして案内されています。宙炭は、販売元が特殊肥料として案内しています。

微生物資材は土壌改良を目的とするもの

土壌改良資材は、土の性質を改善することを目的にした資材です。微生物資材の中には、有機物の分解などで土づくりを進める商品があります。

例えばカルスNC-Rは、販売元が「土づくり資材」と位置づけています。生の有機物と一緒にすき込むと、土の中で分解が進む資材として案内されています。

微生物資材に期待できる働き

微生物資材には、土づくりや有機物の分解、作物の生育を支えることなど、さまざまな目的があります。ただし、すべての商品が同じ働きをするわけではありません。どのような効果を期待できるのか、代表的な働きを見ていきましょう。

土壌中の有機物の分解を助ける

畑にすき込んだ作物残さや堆肥は、土の中で微生物に分解されて、土の栄養になっていきます。この分解を助けることを目的にした資材があります。

カルスNC-Rは、生の有機物と一緒にすき込んで使います。販売元は、有害ガスを出さずに土の中で堆肥化できると案内しています。収穫後の残さを土に戻したい人にとって、選択肢の一つになりそうです。

土壌環境や根の生育を支える

根が元気に伸びるには、水はけや通気性のよい土が欠かせません。こうした土壌環境を支えることを目的にした資材もあります。

宙炭は、多孔質のバイオ炭が微生物の住みかになり、保水性や水はけの改善にもつながると、販売元が説明しています。カルスNC-Rの販売元は、微生物の働きで土が丈夫になり、肥料効果が高まると案内しています。

作物の養分吸収を助ける資材もある

根がしっかり張ると、土の中の養分や肥料を吸収しやすくなります。そのため、根が育ちやすい土づくりは、肥料の効率を高めることにつながります。微生物資材の中には、こうした養分の利用や生育を支えることを目的にした商品があります。肥料の代わりではなく、肥料を活かしやすい土をつくる資材、という位置づけです。

病害の抑制などを目的とする資材もある

センチュウなど、特定の困りごとを対象にした資材もあります。AG土力は線虫捕食菌を含み、センチュウ対策を目的に使われている資材です。農薬ではなく、土壌改良材として販売されています。

公的な例では、農林水産技術会議の資料に、育苗用土へ微生物資材を添加した事例があります。

微生物資材の種類と選び方

微生物資材を選ぶときは、商品名や価格だけでなく、何を目的に使うのかを考えることが大切です。有機物の分解を助けるものや、特定の土壌課題への対応を目的にしたものなど、商品によって特徴が異なります。選ぶときのポイントと、4商品の違いを紹介します。

土づくりや有機物の分解を目的とする資材

土づくりや有機物の分解を目的にした資材では、対象の有機物、使用量、併用する資材、使用時期を確認します。

カルスNC-Rは、生の有機物と一緒にすき込んで使います。EM・1は、乳酸菌・酵母・光合成細菌を含む液体です。販売ページでは、水で100〜1,000倍に薄めて散布すると案内されています。同じ土づくりでも、粒状か液体かで使い方が変わります。

養分の利用や作物の生育を支える資材

宙炭は、もみ殻由来のバイオ炭に微生物を定着させた資材です。播種・定植の約4週間前に、堆肥や有機質肥料と一緒に混ぜて使います。必要施肥量のうち、有機態窒素を10aあたり5kg以上併用するのが条件です。販売元は、堆肥や有機質肥料と組み合わせた栽培で増収効果が見られたと説明しています。

肥料と組み合わせて使うタイプの資材だと考えると、使い方のイメージがつかみやすくなります。

病害抑制など特定の目的を持つ資材

センチュウなど特定の困りごとがある場合は、その対象に合った資材を選びます。AG土力は、繊維分解菌と線虫捕食菌を天然ゼオライトに組み合わせた粒状の資材です。残さの分解とセンチュウ対策を、一度に考えたい人に向いています。

商品を比較するときに確認したいポイント

商品を比べるときは、次の7点を見ておくと迷いにくくなります。

①目的・用途
②対象作物・栽培環境
③含有微生物・原料
④使用方法・使用量
⑤併用する資材
⑥価格・面積あたりの費用
⑦効果を裏付ける情報(事例、試験結果など)

価格は、容量だけでなく、使用量と対象面積から比べるのがポイントです。下の表で、4商品の違いを見てみましょう。

項目 カルスNC-R EM・1 AG土力 宙炭
位置づけ 複合微生物資材。土づくり資材 有用微生物土壌改良資材 土壌改良材 微生物入りバイオ炭。特殊肥料として案内
形状 粒状・粉状(10kgなど) 液体(500ml、1Lなど) 粒状(5kg、12kg) 炭(1袋約40L)
微生物・原料 多様な微生物 乳酸菌、酵母、光合成細菌 繊維分解菌、線虫捕食菌、天然ゼオライト もみ殻燻炭に微生物を培養
使い方 生の有機物とすき込む 100〜1,000倍に希釈して散布 10aで露地野菜6袋(72kg)が目安 播種・定植の約4週間前に施用。1㎡あたり約1L
併用するもの 米ぬか・硫安(有機物の種類による) 堆肥や肥料 ― 堆肥・有機質肥料(有機態窒素を10aあたり5kg以上)
価格(販売店掲載) 10kgで6,000〜7,000円台 500mlで1,320円 12kgで2,980円(10a分の6袋で約17,900円) ―
公開されている情報 お客様の声 ― 購入者レビュー 販売元の実証データ
商品ページ カルスNC-R 10kg EM・1 500ml G土力 宙炭

価格は変動します。購入時に販売店でご確認ください。

微生物資材の使用事例・試験結果

微生物資材を選ぶときは、商品の説明だけでなく、実際の使用事例や試験結果も参考になります。どのような作物や条件で使われ、どのような結果が得られたのかを確認すると、資材選びの判断材料になります。ここでは、公的機関の試験や生産者の事例を紹介します。

公的機関の試験で確認された微生物資材の使用例

農林水産技術会議の資料(福島県での実証、平成25〜29年度)から、2つの事例を紹介します。

1つ目は、キュウリ(品種パイロット、自根)の育苗用土に「ビオ有機」を1%添加した事例です。病原菌に汚染された用土で、無添加より健全株率が高くなり、根部褐変も少なくなりました。2つ目は、トマト(品種リンカ409、自根)の育苗用土に「エコガード」を3%添加した事例です。病原菌に汚染された土壌へ定植した後、無添加より健全株率が高くなりました。

同資料の試算では、ビオ有機をほ場に施用すると10aあたり200〜300kg(資材費60,000〜90,000円)です。育苗用土に添加する方法なら、2kg(600円)で済みます。

育苗用土への添加は、使う量が少なく、手間も減らせる方法として紹介されており、資材を使うタイミングや方法を工夫することで、費用を抑えられる例といえます。

また、利用者の事例もあります。リサール酵産のホームページには、カルスNC-Rを40年以上使い、大玉トマトを10aあたり25トン収穫している生産者の声が載っています。こうして長く使い続けている農家がいることは、導入を考えるときの参考になります。

参考:農林水産技術会議「微生物資材の育苗用土への活用」

微生物資材は肥料や有機物と併用すべき?

微生物資材を使うとき、肥料や堆肥なども一緒に使ったほうがよいのか、気になる方もいるのではないでしょうか。微生物資材は、作物に養分を供給する肥料とは役割が異なります。ここでは、それぞれの役割を整理しながら、併用するときの考え方を紹介します。

微生物資材と作物に養分を供給する肥料は役割が異なる

微生物資材と肥料は、役割が違うので、組み合わせて使うのが基本です。微生物資材で土づくりを進め、肥料で作物に養分を届ける、という分担になります。

カルスNC-Rでは、元肥は作物に応じて通常どおり施用すると、メーカーが案内しています。米ぬかや硫安は微生物の活動に使う資材で、作物の元肥とは別のものです。

有機物や有機質肥料を一緒に使う場合の考え方

有機物(作物残さ、堆肥、もみ殻など)や有機質肥料は、微生物のエサにもなります。そのため、一緒に使う前提の資材が多くあります。

カルスNC-Rでは、有機物の種類に応じて米ぬかや硫安を使う場合があります。宙炭は、堆肥や有機質肥料と同時に施用し、有機態窒素を10aあたり5kg以上確保します。EM・1は、堆肥や肥料を入れた畑に散布する使い方です。何を一緒に使うかは商品ごとに違うので、説明書やラベルで確認してから使い始めましょう。

微生物資材を使えば肥料を減らせるとは限らない

肥料の量は、作物ごとの施肥基準が目安になります。微生物資材は、肥料を減らすためというより、肥料を含めた土づくりの一部として取り入れる資材です。

農研機構のミニトマト栽培試験(2000〜2004年度)では、有機質肥料を調製する際に微生物資材を加えても、収量や品質に違いは見られませんでした。一方、好気発酵させた有機質肥料を施用した区では、化学肥料より収量が高まる傾向がありました。有機質肥料そのものの使い方が、土や収量に関わるという結果です。

参考:福島県「福島県有機栽培推進技術資料 有機栽培の手引き 改訂版」

微生物資材を使うときの注意点

微生物資材は、商品ごとに使用量や使い方が異なります。また、土の状態や気温、水分などによっても、微生物の働き方は変わります。期待する効果を得るためにも、購入前に確認しておきたいポイントや、実際に使うときの注意点を押さえておきましょう。

微生物の働きは土壌環境や使用条件によって変わる

微生物は生き物なので、土の状態、気温、水分、有機物の種類によって働き方が変わります。宙炭の販売元も、土の種類や作物によって施用量の目安が違うと案内しています。一度で判断せず、作物の様子を見ながら使い続けてみるのも一つの方法です。

期待する効果と商品の用途が合っているか確認する

選ぶときは、まず目的を決めましょう。残さを分解して土づくりをしたいならカルスNC-R、肥料を活かせる土にしたいならEM・1、センチュウが気になるならAG土力が候補です。目的に合う商品を選べば、土づくりの結果も実感しやすくなります。

まとめ:目的と使用条件に合った微生物資材を選ぼう

微生物資材は土づくり、肥料は養分の供給、と役割が分かれています。組み合わせて使うことで、肥料を活かしやすい土を目指せます。

資材は、有機物の分解、土壌環境、センチュウ対策など、商品ごとに目的が違います。目的を決めてから、形状、使用量、併用するもの、費用を比べると、自分に合う資材が見つかります。

公的機関の試験や、実際に使っている農家の声も、選ぶときのヒントになります。ラベルで使い方を確認して、自分の畑や家庭菜園に合う微生物資材を選んでみてください。

微生物肥料・微生物資材に関するよくある質問

微生物資材を使えば肥料は必要なくなりますか?

肥料と組み合わせて使う資材が基本です。微生物資材は土づくりを担い、肥料は養分を届ける役割です。肥料の量は、作物や土に合わせて決めましょう。

微生物資材と有機肥料は何が違いますか?

微生物資材は微生物の働きを利用することが目的で、有機肥料は有機物由来の養分を供給する肥料です。宙炭のように肥料に区分される資材もあるので、商品の表示を見ておくと安心です。

微生物資材は家庭菜園でも使えますか?

使えます。カルスNC-Rの1kg、AG土力の5kg、EM・1の500mlなど、小さなサイズの商品もあります。家庭菜園では、使いきれる量から試してみるのがおすすめです。

微生物資材はどの商品を選んでも同じですか?

同じではありません。含まれる微生物、形状、用途、使い方が商品によって違います。目的に合う資材を選びましょう。